2019 年 75 巻 2 号 p. I_1303-I_1308
本研究は,雨水の土壌への浸透を組み込んだ降雨流出・洪水氾i監ダイナミック解析モデルに地中流の取り扱いを新たに組み込み,平成29年7月九州北蔀豪雨時の赤谷川流域を対象に解析を実施し,地中流との挙動と土砂崩落地との関係について検討したものである.本研究から,本モデルが痕跡水位と実測浸水域を再現可能であること,地下水の流動水深や底面せん断力の力積の解析結果に基づき,赤谷川流域の土砂崩落地には地下水流が生じることによって斜面の安定性を維持できず土砂砂崩落に至った箇所と,流れによる比較的大きなせん断力が長時間作用したために洗掘された箇所が存在することが確認された.