2019 年 75 巻 2 号 p. I_1315-I_1320
台風や局地的豪雨による被害が日本各地で多発している.2015年に改正された水防法では,想定しうる最大規模の洪水・内水および高潮に係わる浸水想定区域を公表する制度が創設された.今後は起こりうる各々の水災害に対し,適切な対策を講じることが求められる.本研究では,浸水予測手法S-uiPSを用いて大規模豪雨と高潮が同時発生する状況下を想定し,浸水予測計算を行った.高潮時には,臨海部から都市河川を遡上する流れが生じ,河川水位によっては雨水吐を経由して下水道内への水の逆流や河川からの越水が生じる.こうした危険性は,河口から離れた地点においても十分に考えられる.本研究では,都市河川のどの範囲にまで高潮の影響が現れ,いずれか一方の外力による浸水と比較してどの程度深刻な事態となるかを明らかにすることができた.