2019 年 75 巻 2 号 p. I_1387-I_1392
越水による河川堤防の決壊・氾濫過程を正確に捉えるため,堤体や河床材料の粒径分布を考慮できる混合粒径型モデルによる数値解析を行った.堤体材料の粒径分布,堤防天端幅および洪水流の水面勾配等が異なる複数条件下の破堤実験を対象に,本モデルと単一粒径モデルを比較・検討した.洪水流・堤防条件の違いによる破堤口の拡幅開始時間,拡幅速度,最終破堤幅や氾濫流量の変化を混合粒径型モデルは良好に再現した.単一粒径モデルは使用する粒径を調節しても,水面勾配が急な条件では,破堤過程を特徴付ける前述の各項目の再現性を同時に全て高めることは困難であった.2004年新潟・福島豪雨時の五十嵐川の破堤事例を対象に,実河川の現象への適用性を調べた.本モデルは最終破堤幅,破堤地形や土砂堆積分布の特徴を概ね良好に捉えることができた.