2019 年 75 巻 2 号 p. I_1429-I_1434
中山間地域の洪水災害では,平成29年7月九州北部豪雨に見るように,最近の豪雨傾向による洪水流量の増大と相まって大量の土砂とともに輸送される流木が甚大な被害をもたらしている.これまで流木対策の多くは渓流砂防としてなされているが,今後,豪雨外力の増大化が見込まれる中,洪水流量増大に伴って土砂・流木の流下範囲も本川河道に拡大することが予想され,河道内においても積極的に流木貯留施設を設けるべきと言える.こうした観点から本研究では,中山間部の河道内に設置した流木貯留施設について,施設設計に関して有効な知見を,流木群の流動追跡を可能とする数値解析から抽出しようと試みた.具体的には,新潟県上越市にある関川の湾曲部に連続配置した流木捕捉工を対象として,その機能効果に関する考察を行い,河道流木貯留施設の設計に関する有用な知見を提示した.