土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第64巻
急流河川における将来洪水流量を考慮した河岸侵食特性と河道計画に関する考察
岡部 和憲久加 朋子山口 里実清水 康行新庄 興長谷川 和義
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_1423-I_1428

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抄録

 近年,十勝川水系の将来洪水流量は1.5~1.7倍程度まで変化する可能性が指摘されており,安全確保の観点からリスクを把握し,それを踏まえた河道計画を検討しておく必要がある.そこで,本研究では著者らの既往論文を発展させ,将来洪水流量を想定した場合の流路変動特性について数値解析より検討した.結果,当該区間では流量規模が大きくなるほど川幅も大きくなった.ただし,低水路内において川幅は拡幅し続けることはなく,各ケース一定値に漸近した.これは,流量1.5倍を超えた付近から,ピーク流量通過後の流路形態が蛇行から複列,あるいは網状流路へ変化し,流路の拡幅が止まったためである.ただし,この時点で既に堤防決壊している場合,堤内地に新流路が形成された.したがって,将来洪水流量を考慮した急流河川区間の河道計画においては,河道内ではある程度蛇行流の移動を許容し得るが,堤防基盤部およびその前面を侵食に対しては確実に防御できる構造とすることが肝要となる.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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