2019 年 75 巻 2 号 p. I_199-I_204
低平地に整備されたポンプ施設を有する合流式下水道では,管渠内水位はポンプ排水の影響を強く受けることから降雨特性とは非線形な関係にあり,複雑な挙動を示す.また,管渠内水位の観測情報が少ないために,管渠水理モデルの検証は不十分なままであり,モデル再現性を効果的に改善する手法が求められる.本研究では管渠内水位の観測情報を活用して管渠水理モデルの精度を評価し,予測精度の向上のため事前計算による管渠水位分布のデータバンクを活用した同化手法を適用した.また,ポンプの起動状態が管渠水位に与える影響について感度分析を行った.数値実験の結果,同化によって管渠内水位の再現精度が大きく向上することが示されるとともに,ポンプ井水位の情報をデータ同化に活用することの重要性が示唆された.