2019 年 75 巻 2 号 p. I_211-I_216
気候変動に伴う降雨の局地集中化により内水氾濫被害が多発しているが,被害状況の定量的なモニタリング方法は十分に構築されておらず,錯綜する定性的な情報の中で避難判断や水防・排水活動が行われてきた.本研究では,内水氾濫危険度分布の把握を目的として,下水管路内の「点」水位観測データを精度良く「線」データに内外挿するための数値解析手法(DIEX-Flood)を高速演算可能となるように改良するとともに,現地管路における多地点水位観測データに基づいて,有効性検証を行った.その結果,本手法は高精度の水位データ同化によって精緻な水位縦断分布を算出可能であった.また,水位データ同化による水位計算精度向上効果はデータ同化地点の上下流にも波及し,降雨観測・予測誤差やモデル誤差等の影響を低減させて安定的な水位予測が可能であることが示唆された.