2019 年 75 巻 2 号 p. I_241-I_246
利根川上流域の八斗島上流域(5150km2)を河川および流域の貯留関数モデルでモデル化し,粒子フィルタを用いて,時々刻々,状態量を更新しつつ河川流量を予測する実時間洪水予測システムを構築した.次に観測情報の導入手法,システムノイズを加える対象(流域の貯留関数モデルの貯留高のみ,河川貯留関数モデルの貯留量のみ,あるいはその両方),データ同化時間間隔を変えて適用し,それぞれの手法の計算結果の予測精度を比較した.その結果,各観測地点の観測流量データを用いて,その上流域のモデルの状態量を更新する手法が良いこと,システムノイズを流域の貯留関数モデルの貯留高と河川貯留関数モデルの貯留量の両方に加える手法が適切であること,データ同化時間間隔は短くすると予測精度が向上することがわかった.