2019 年 75 巻 2 号 p. I_25-I_30
都市街区スケールにおける熱環境評価を行うために街区放射モデルSOLWEIGを用いて,出力される平均放射温度(MRT)から黒球温度を算出し,移動気象観測値と比較・検証を行った.モデルでの計算値は実測値と比較して約6℃のバイアスが生じ,変動も大きく異なっていた.この理由として,検証で用いた実測値では雲や日陰状態の変化に伴い気象場も局所的に変動しているのに対し,モデルでは初期条件として対象領域に一律の気象データを入力していることが挙げられる.計算値の平均放射温度(MRT)は気温・相対湿度・全天日射量と線形および3乗の関係がみられることから,これに従う近似式を考案した.これらを基に計算値のMRTを補正し,黒球温度を推定した結果,実測値の変動を概ね捉えられることが確認された.