2019 年 75 巻 2 号 p. I_31-I_36
土地利用形態が変化しない狭域の活動空間においても人体が歩行時に受ける熱ストレスが有意に変化するのかについて評価するため,千葉県習志野市の谷津干潟北部に存在する低層住宅街区内を対象に,小型の台車を用いた移動気象観測手法により真夏日における熱環境場を測定した.ルート内の気象場はアンサンブル平均してもなお有意に変動し,黒球温度と気温はそれぞれ3.5℃,2.7℃も変動しており,これらは干潟や植生の存在と街区構造に起因すると考えられる.比湿に着目すると街区構造の違いが明瞭に現れ,風向に直交する道路が多い場合では100m程度,平行する道路が多い場合では300m以上まで風上にある干潟や植生の影響が及んでいる可能性が示された.