2019 年 75 巻 2 号 p. I_325-I_330
2018年7月の西日本豪雨時,旭川下流部では大規模な洪水が発生し,砂州上の樹木や草が流出するとともに竹林の倒伏が観察された.従来,植生流出の限界条件は洪水前の植生繁茂条件の下で,流量ピーク時に植生に働く流体力や河床の無次元掃流力に基づき求めるが,本洪水の植生流出では流体力や掃流力のデータにバラツキが大きく,限界条件を合理的に検討できなった.そこで,本研究では植生高と無次元掃流力から限界条件を定めて植生を流出させながら,同時に河道抵抗を減少させて連成する洪水流解析モデルを構築した.また,航空レーザー測深から,洪水前の河床地形,地被および植生特性量の面的分布を得て,洪水流解析のデータとして利用した.平成30年の洪水流解析の結果,植生流出の限界掃流力を一定とするよりも,植生高分布や流況に応じて植生を流出させることで,洪水時の植生流出解析の再現性が向上した.