2019 年 75 巻 2 号 p. I_415-I_420
本研究の目的は,Chao Phraya川下流における現地観測結果とADCP観測結果を用いて,水理特性と水質特性を明らかにすることである.著者らは,2016年8月から2年以上にわたり定期的に現地観測,水質分析,ADCP観測を実施してきた.その結果に加え,タイ政府による水質・水位自動モニタリングデータを併用して,水理特性と水質特性を明らかにした.
その結果,雨期と乾期の水位変化に応じてECが乾期の2月において上昇のピークに達し,河口からの距離80km~100km付近まで高い値を示した.ADCP観測結果では,水位上昇時には逆流現象,水位低下時には順流現象が全層で起きていることが認められた.これらの現象時において逆流現象時には海水が侵入することでECが底層で上昇し,順流現象時には全層でECが同程度の値を示すことがわかった.