2019 年 75 巻 2 号 p. I_481-I_486
開水路乱流場の自由表面にせん断応力(界面せん断応力)が付加された場合に,乱流場がどのように応答するのかについてDNSおよび標準k-εモデルによる数値実験を行った.乱流特性量の鉛直分布特性は界面せん断応力の正負に強く依存して変化することを示した.負の界面せん断応力が作用する場合,DNSの結果では半水深付近の主流速がせん断応力がない場合に比べて加速することを確認したが,標準k-εモデルではこのような特徴を再現できない.また,界面発散とテイラーマイクロスケールのスケーリング則は,界面せん断応力の大きさや正負に関わらず普遍的に成立するが,界面発散と乱れエネルギー散逸率のスケーリング則は破綻することを見出した.このことは界面のスカラー輸送が界面のせん断応力の正負の符号によって変化する事を意味する.