2019 年 75 巻 2 号 p. I_511-I_516
流域一貫での河川環境管理のためには,水系内の環境勾配に沿った生物の存在量を把握することは有意義である.そこで本研究では,宮崎県小丸川水系において,底生動物と付着藻類の網羅的なサンプリングと機械学習を用いることにより,流域規模で底生動物群集の個体数予測における餌資源因子の重要性を評価した.宮崎県小丸川水系において上流域と下流域それぞれ33地点と17地点の調査地点を設定した.クロロフィルaは,下流域の摘み取り食者の個体数と有意な正の相関を示した(r=0.524, p=0.031)ものの,掃き取り食者とは明瞭な相関関係を有していなかった.ランダムフォレストにより底生動物個体数密度の予測モデルを構築した所,10地点以上に存在した63分類群にとってクロロフィルaの重要性および予測能力は高くない一方で,樹冠開空度はわずかに予測性能を向上させることが示された.