2019 年 75 巻 2 号 p. I_853-I_858
ダムの通砂/排砂運用は堆砂による上流の洪水被害の防止だけでなく,土砂移動による下流河川や海域の環境改善を目的に実施される.ダムの通砂/排砂運用の効果とその影響を検証するためには,堆砂量だけでなく,調整池の土砂収支を明らかにする必要がある.また,土砂収支は総量だけでなく,粒径区分別に評価しなければならない.濃度と粒度分布を測定できる浮遊砂観測装置の開発が課題である.本論文では,平成30年7月豪雨(西日本豪雨)時に実施した球磨川・瀬戸石ダムの通砂/排砂運用期間中にフローセル型超音波減衰スペクトル計を用いて粒径区分別浮遊砂量を求め,土砂収支から通砂/排砂運用の効果を検証する.