土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第64巻
気候変動と堆砂進行がダムの治水・利水機能に及ぼす影響の評価指標化の提案
小島 裕之永谷 言川村 育男谷脇 佑一倉橋 実佐藤 嘉展角 哲也
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_91-I_96

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抄録

 既存ダムを活用した気候変動への適応策の検討に向け,気候変動がダムの治水機能や利水機能に及ぼす影響を適切に評価し,ダム再生の対策に反映させていくことが求められている.さらに,長期的なダム機能の評価では,堆砂進行による有効容量の減少も重要な要素である.しかしながら,現時点では,これらを統合させた評価方法は確立されていない.そこで,本研究では,気候変動に伴う各ダムの流況変化と堆砂進行を予測した上で,その予測結果から対策の必要性の高いダムをスクリーニングするための評価指標の提案を行うとともに,利水影響指標については個別ダムでの利水計算に基づき妥当性検討を行った.また,提案した評価指標から,全国のダムを類型化した結果,2099年時点では気候変動に対して機能を維持するために,全ダムで何らかの影響適応策を図る必要があることが示唆された.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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