2019 年 75 巻 2 号 p. I_97-I_102
ダム下流の河川整備水準が低く河道の流下能力が不足する区間がある場合に,上流のダムにおいて出水時により多くの流入水を貯留する中小規模洪水を重視した洪水調節方式が暫定的に採用されている流域が少なからずある.しかし,こうした操作方式では,大規模洪水の場合には,洪水の早い段階で洪水調節容量が使い切られることにより,洪水ピーク時に洪水調節が行えず,下流の洪水氾濫の危険性を軽減できなくなる可能性がある.本研究では,淀川水系桂川の日吉ダムを対象に,複数の降雨シナリオに対してダムの治水操作手法を変えた氾濫解析を行い,大規模洪水時におけるダムの各治水操作手法の下流への効果や影響を分析するとともに,亀岡盆地周辺の氾濫被害が軽減される治水操作手法について検討する.