2020 年 76 巻 2 号 p. I_1093-I_1098
本研究は,豪雨に伴う崩壊の予測,崩土の移動,河道堆積土砂及び崩土の移動過程において形成される河道貯留土砂が洪水流により侵食されて流出する一連の過程をシミュレートするモデルを構築するとともに,2018年7月豪雨における総頭川上流域に適用して,土砂の生産・流出の解析を行ったものである.それによれば,崩壊発生直後には河道貯留土砂や河道堆積土砂の移動による土砂の堆積領域は2次河道から4次河道にみられ,降雨終了後には4次河道にみられた.これは,崩壊の発生に伴う崩土の大部分は河道に停止して貯留土砂を形成し,その後,河道堆積土砂とともに洪水流による侵食により流出したことを示している.