2020 年 76 巻 2 号 p. I_139-I_144
気候変動による洪水リスクの増加に対応するためには高精度な洪水流量の推定が必要となる.本論文では,過去に経験していない大規模の洪水に対して,降雨流出モデルを適用することを想定し,利根川上流域に存在するダム流域を対象に降雨流出モデルのパラメータ推定を行い,そのパラメータ特性を洪水規模の観点から分析を行い,小・中規模洪水のパラメータを用いて大規模洪水の再現計算を行った.その結果,小規模洪水と中規模洪水のそれぞれにおけるパラメータ平均値を用いた流出計算結果と比較し,Nash係数による評価ではどちらでも0.7を超える高い再現性があることがわかった.また,ピーク付近の流量は,中規模洪水以上のパラメータを用いた場合の方が過小評価傾向が改善されることがわかった.