2020 年 76 巻 2 号 p. I_391-I_396
本研究は日本の最上流域における流量特性マップを作製するために,ニューラルネットワーク(ANN)を利用した流況推定手法の構築と精度検証を実施した.ANNの出力値を年平均流出高(QMEAN)と9種類の日流出高のパーセンタイルとし,入力値を気象,土地利用,地質,土壌および地形に関する流域特性指標とした.ANNの汎化性能はQMEANにおいてR2=0.70を示し,9種類の日流出高のパーセンタイルにおいてR2=0.20~0.74の範囲を示した.本研究は日本の最上流域を対象とした流量特性マップの作製に成功し,日本の降雨および降雪特性を反映していることを確認した.流量特性マップの結果から,流れ込み式水力発電所開発には東北・北陸地方の日本海側の豪雪地域が適していることが明らかとなった.