2021 年 77 巻 1 号 p. 59-73
密度躍層厚さが無視できる2層流体では,斜面上の内部ソリトン波の砕波はsurging breaker, collapsing breaker, plunging breaker, fission breakerのおおよそ4形態に分類できる.現在,この4つの砕波形態の分類指標は波形勾配,斜面勾配および内部レイノルズ数に基づいている.しかし,この指標が実海域で多く見られる密度躍層厚さが増加した場合においても適用可能であるかは不明であった.そこで本研究では,数値シミュレーションを用いて密度躍層の層厚増加に伴う上記指標の適用性を調べ,層厚が増加しても2成層の砕波指標が適用可能なことを確認した.さらに,層厚増加に伴う内部ソリトン波の砕波による物質輸送及びエネルギー損失についても検討し,全砕波形態において層厚増加に伴い砕波によるエネルギー損失や,物質の輸送距離が増大することがわかった.