土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第66巻
気候変動による降水変化に伴う鉄道輸送の安定性への影響評価 ―複数の路線を対象とした解析―
植村 昌一橋本 健鈴木 博人
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 77 巻 2 号 p. I_13-I_18

詳細
抄録

 鉄道では,土砂災害などの降雨災害から列車の安全を確保するために,雨量計の観測値に基づいて運転中止などの措置をとる列車運転規制を実施している.将来は,温室効果ガス排出量の増加により大雨の強度や頻度が増加すると予想されており,列車運転規制の増加による鉄道輸送の安定性の低下が想定される.本研究では,4つの鉄道線区を対象として,現在と21世紀末における運転中止の実施頻度と実施時間の変化を評価することで,降水変化が鉄道輸送の安定性に及ぼす地域的な差異を評価した.その結果,21世紀末では現在に比べて,運転中止の実施頻度が東北の線区で平均3.1倍,関東の線区で平均1.4倍,運転中止の実施時間が東北の線区で平均4.2倍,関東の線区で平均2.1倍となった.このように,運転中止の実施頻度と実施時間は増加するとともに,それらの増加度合いは東北の線区が関東の線区よりも大きいと考えられる.

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top