2021 年 77 巻 2 号 p. I_859-I_864
河道内における橋脚の存在は局所的な流れを発生させるため,局所的河床洗堀による橋脚の安定性の低下や流木堆積といった災害発生の要因となる恐れがある.また,黄河のような高含砂河川や泥流,豪雨時における微細土砂を多く含む流れの発生等を考慮し,橋脚を有する高濃度流の流動機構を明らかにする必要がある.そこで本研究では,小判型の橋脚を有する開水路流れにおいて,ポリアクリル酸ナトリウム(PSA)水溶液を用いて粘性を変化させたときの平均流特性や運動量輸送特性について検討した.これにより,粘性が高くなるにつれて橋脚先端付近の迂回流や橋脚下流付近の水路中央に向かう流れが抑えられることを明らかにした.また,運動量輸送特性については,粘性が高まることで移流に比べ乱れによる運動量輸送量が極端に抑えられることを明らかにした.