2022 年 78 巻 1 号 p. 48-62
本論文では,平成30年7月豪雨により被害を受けた地域に立地する事業所へのアンケート調査を基に,水害からの売上回復過程を分析した.分析では,売上が元の水準に回復するまでの日数及び複数の中間水準に回復するまでの日数を生存分析の手法によりモデル化した.その結果,浸水深,各種ライフライン被害,資金調達に関する状況等が売上回復速度や程度に与える影響を定量的に明らかとした.各要因の影響は製造業と非製造業で異なる場合が多く,例えば水道の被害日数は製造業に対してより大きな影響を与えていた.さらに,回復過程の評価モデルから推計した総売上被害額は,売上被害の回答値と同程度であり,回復過程や売上の設問に対する事業所の回答が整合的で,かつ生存分析モデルによる未観測時点も含めた回復過程が適切であることを確認した.