2022 年 78 巻 2 号 p. I_1087-I_1092
環境配慮工が設計時に意図した生物保全機能を発揮し続けるには,施工後の状況に応じた維持管理が不可欠である.本研究では,農業用排水路に存在する魚巣での過剰な堆積土砂を浚渫する「泥上げ」に注目し,泥上げ効率の評価手法を開発した.平面2次元流れ・路床変動モデルを実在の魚巣と魚溜のある農業用排水路区間に適用し,対象区間で堆砂傾向が再現されることを示した.次に,左岸の特定魚巣の泥上げパターンを複数仮定し,泥上げ効果減少率を算出することで,浚渫土量に対する泥上げ効果の持続性を評価した.本手法により効果が持続しやすい泥上げ箇所の選択や浚渫土量の決定など,魚巣の適応型管理に有用な情報を提供することができる.