2022 年 78 巻 2 号 p. I_1165-I_1170
用水路の上流部が開水路形式,下流部がパイプライン型式の複合水路系において, 両者の接点に設置するバッファーポンドの機能を有効に利用するには,これまで以上に用水の貯留状況の管理や,需要者の水利用に応じた送水管理の高度化が必要となっている.そこで本研究では,分水制御ゲートを有するバッファーポンドにおいて,水使用量の予測を導入した分水操作を行い流入量を調整することで,需要が少ない時間の余水の発生や容量不足を防ぐ運用手法を提示した.水使用量の予測には,限られたデータ数でも有用な予測が可能な自己回帰モデルに,過去データから抽出した水利用に関する操作ルールを考慮する手法を構築した.数値モデルにおいて提示した操作手法を評価した結果,使用水量に応じた送水によりバッファーポンドの余水の削減,不足の解消を実現することを示した.