2022 年 78 巻 2 号 p. I_1243-I_1248
近年頻発している大規模洪水の対策として事前放流が挙げられるが,事前放流ガイドラインによる水位低下の実施可能期間は短い.さらに,河川に縦列に配置されたダム群や利水ダムの事前放流に関する検討は不十分である.本研究では,利水ダムを含む大規模な縦列ダム群で事前放流を行う場合を想定し,開始時刻や目標水位の変更が,各ダムの治水効果を示す最大放流量や,水力発電量に直結する利水ダムの無効放流量に与える影響を検討した.大規模な出水時には,縦列ダム群で事前放流することにより,各ダムの最大放流量と利水ダムの無効放流量を低減することができた.また,現在では3日前である事前放流の開始時刻を1週間前程度に早め,さらに目標とする水位低下レベルを大きくすることで,治水・利水両面に対する事前放流効果が増大した.