2022 年 78 巻 2 号 p. I_1249-I_1254
気候変動にともなう渇水頻度の増加の影響を緩和するため,既存ダムのさらなる有効活用が求められている.本研究では,強化学習の手法を用いてダム群の容量を有効活用するための最適操作を支援するモデルを構築し,その有用性を検証した.構築したモデルは現時刻の各ダムの貯水量や流入量等の各種条件をもとに,最適なダムからの補給量を予測するものである.強化学習モデルでは,単純に日々の貯水量比率で補給配分率を設定した水収支計算結果と比較して,基準地点での不足や無効放流が少ない操作を予測できる結果が得られた.また,ダム群の総容量を有効に活用するためには,流入量や貯水量等の個別のダムの特徴を踏まえた上で貯水状況に応じた効率的な運用が求められるが,強化学習モデルで予測される補給量は,概ねその傾向と一致する予測結果が得られた.