2022 年 78 巻 2 号 p. I_13-I_18
気候変動に伴い発生が予想されるスーパー台風により洪水と暴風の同時生起リスクが懸念されるが,河川洪水流の水理に対する風応力影響に関する知見は皆無に等しい.本研究では,暴風条件下における河川洪水流の水理特性に関する基礎的知見を得ることを目的とする.そのため,長さ30kmの一様断面を有する矩形開水路における洪水流に対して,定常・一様な風向・風速を変えた数値実験を実施した.その結果,順風(逆風)時では,風応力作用後,速やかに主流方向流速が増加(減少)し,極大値を経てから減少(増加)し,定常状態へ移行していた.また,風応力に対して,流速の方が水深(水位)よりも応答が早く,これには運動量の鉛直混合を示す鉛直渦動粘性係数による拡散距離が関係していることが示唆された.