2022 年 78 巻 2 号 p. I_211-I_216
河川での水難事故多発箇所である堰状構造物(ローヘッドダム)における流れへの転落事故を想定し,堰越流の3次元流動計算と,人体各部位への流体力と浮力を考慮し落水者の姿勢変化と運動を計算した.堰の上・下流水深を変化させ流動様式の異なる流れを再現し,人体は救命胴衣着用を想定してモデル化した.溺水原因とされる鉛直循環流は,従来注目されていたsubmerged jumpに加えwave jumpでも生じ,水面に加え河床付近にも形成された.submerged jumpの鉛直循環流への捕捉は長時間になる傾向があった.wave jumpでの捕捉は短時間となるが,submerged jumpよりも人体が激しく煽られた.この場合,たとえ救命胴衣を着用していても水面上に浮き続けることができないケースも確認された.