2022 年 78 巻 2 号 p. I_295-I_300
浅海域に建設された構造物が海洋物理環境に与える影響を評価することを目的とし,3次元水理モデルを用いて成層状態を考慮した数値実験を行った.構造物の配置の違いによる影響を比較するために,直径500mの円柱状構造物を1本設置した場合,流れに対し水平または垂直に2本並べて設置した場合の3種類の配置を用いた.外力として定常流とM2潮汐振動流をそれぞれ与え,外力条件毎に評価した.渦運動は定常流では構造物を複数設置した場合に強められ,配置による違いは小さかった.振動流では構造物を水平に並べて設置した場合に最も渦運動が強められていた.鉛直混合は外力条件によらず構造物を流れに対し垂直に並べて設置した場合に最も促進されていた.本研究の結果から,構造物の配置や数が海洋物理環境に影響を及ぼすことが示唆された.