2022 年 78 巻 2 号 p. I_31-I_36
近年,豪雨災害が頻発する中で土石流を起因とする複合災害の被害が多く報告されている.本研究では,山口県内の鉄道沿線の171か所を対象に土石流シミュレーションを実施し,土石流が鉄道や河川に流入する複合災害の発生リスクを土砂堆積厚として評価した.その結果,土石流警戒区域外に土石流が流出する危険性,および山麓に線路が位置する箇所や土石流が長距離流動後に線路へ到達する箇所で鉄道被害の発生リスクが高いことが示された.また,シミュレーションから定量評価した複合災害発生リスクと相関のある地形特性を用いた統計モデルの構築により,複合災害発生リスクが評価可能であることが示唆された.