2022 年 78 巻 2 号 p. I_391-I_396
数値気象予測において,観測情報は予報誤差低減に重要な役割を果たす一方,観測位置を最適化する手法は未確立である.近年,PODモードと観測値を用いて場を復元する方法や,復元される場のスパース性に着目し,フィッシャー情報行列Fを最大化するスパースセンサ位置最適化(SSP)手法が提案されている.本論文では大次元力学系に適したSSP手法を検討し,SSTを用いた数値実験により提案手法の妥当性を考察した.場の復元にデータ同化を新たに応用し,精度改善に成功した.更にSSPにモードのみを用いた場合と,モードと特異値を考慮した場合を比較し,特異値を考慮した観測位置決定では上位モードが優先されることを示した.Fの最大化の解釈として,Fの行列式最大化とFの逆行列対角和の最小化を検討し,後者が適することを示した.