2022 年 78 巻 2 号 p. I_397-I_402
中小河川の水位予測システム構築時において,生じる問題の解決策を類型化するため,全国125河川の水位予測システムを構築した.構築する中で,(1)解析雨量の仕様の影響により小流域の水位波形の再現性が低い,(2)降雨プロダクトの精度が原因となり水収支が一致しない,(3)HQ式の精度低下により低水の再現性が低い,といった問題が生じていた.これらの問題の解決策として,(1)時間解像度のより細かい降雨プロダクトの使用,(2)他の降雨プロダクトの使用,(3)横断図修正によるHQ式の再作成,を提案した.特に降雨プロダクトの精度については,河川の空間的な位置や洪水時の降雨分布などに影響されるため,水収支の確認や地上雨量との比較を行い,適切な降雨プロダクトを選択することがモデル作成の観点から重要である.