2022 年 78 巻 2 号 p. I_505-I_510
湖沼水面面積の観測は,そこに貯留されている水量の把握において極めて重要である.本研究はその月毎面積を全球で推計したデータセットを用い,自然湖と貯水池それぞれにおける面積の長期変化や季節変動を解析した.全球で自然湖の面積が減少傾向にあると同時に季節変動幅は増加している.一方で貯水池ではこれらの傾向は顕著ではないが季節変動幅やその経年変化傾向はその規模によって異なっていることも分かった.重力観測による水貯留量変動の結果とは全体的に整合していたが,一部異なる傾向を示す地域があった.このように人工衛星による湖沼水面面積の観測は水資源管理にとって有用な知見をもたらし,また水面標高観測と組み合わせることでより包括的な水貯留量の推計も可能になると期待される.