2022 年 78 巻 2 号 p. I_595-I_600
近年河道の樹林化によって種々の問題が発生しており,その発生・進行メカニズムの解明が急務となっている.本研究では流れ場を特徴づけるパラメータとして植生要素の剛性に注目し,室内水路実験を通じてその植生群落周辺における渦構造や浮遊砂堆積過程への影響について検討した.剛性のみを変化させた 4通りの植生流れを対象に実験を行い,鉛直面および水平面PIVによる流速計測と浮遊砂投入実験による浮遊砂堆積領域の観察を行った.流速計測の結果から,剛性が大きく植生の倒伏高さが比較的大きいケースでは,群落後流域の河床付近において水平渦が発達し,横断方向の運動量輸送が鉛直方向の輸送よりも活発になることが示された.また,このような剛性による渦構造の変化が平均流構造および浮遊砂堆積領域を決定することが示唆された.