土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第67巻
渇水によるパナマ運河水位低下の緩和対策に関する基礎研究
筒井 浩行Rasmy Mohamed小池 俊雄
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2022 年 78 巻 2 号 p. I_745-I_750

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抄録

 パナマ運河では,渇水に伴う水位低下が発生し,通航料金の増額が日本商船隊の負担増をもたらすなど,日本にとっても深刻な問題となっている.本研究では,2015年の渇水を対象に,パナマ運河に水・エネルギー収支-降雨・流出・氾濫モデルを構築して渇水緩和対策を検討したが,ダム新設を仮定した場合であっても,39cmであった渇水年の2015年と前年との水位差を30cmまでにしか緩和できず,緩和効果が小さいことが分かった.ゆえに海水の淡水化等,パナマ運河庁が既に提案する他案も考える必要があることを理解した.さらにパナマ運河に豊富な水が存在した2011年の水位のレベルに復旧させるためには,パナマ共和国内の対策に加え,気候の変化特性を考慮した,より広域の導水による補間も考慮する必要があることが分かった.

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© 2022 公益社団法人 土木学会
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