2022 年 78 巻 2 号 p. I_775-I_780
本研究では,単孔式希釈試験により鹿児島県喜界島の石灰岩帯水層における水理パラメータの鉛直分布推定を試みた.複数の観測孔にて単孔式希釈試験を実施し,計測した濃度低下曲線をトレーサ希釈モデルにフィッティングして透水係数を推定した結果,透水係数の値は標高に対する依存性を示した.また,移流分散方程式の解析解と群知能である粒子群最適化(PSO)とカッコウ探索アルゴリズム(CKA)の逆推定により,実流速,縦分散係数,横分散係数を推定した.その結果,当該逆問題においてはPSOとCKAは同一の探索性能にあることがわかった.また,観測孔ごとに推定したパラメータ群は希釈試験による濃度変動を良好に再現し,対象とした2つの観測孔のうち,内径の小さい観測孔の方が観測濃度の破過曲線は緩やかに低下することを確認した.