2022 年 78 巻 2 号 p. I_787-I_792
近年の洪水災害の激甚化に対応し地球温暖化に適応するため,流域治水オプションや地球温暖化適応策の定量評価が重要となっている.本研究は,富山県4河川を対象とした洪水氾濫解析を実施することで,適応策としての田んぼダムおよび河道内植生伐採の洪水被害額低減効果を定量的に評価したものである.解析結果より,河川流域毎に適応策の効果が異なり,田んぼの面積が多い小矢部川では田んぼダムの効果が大きく洪水被害額の31%低減を達成している.また植生伐採も11%の被害額低減に寄与することが出来た.しかしながら,庄川,常願寺川などでは,田んぼダムの効果は殆ど見られないことが明らかになるなど,河川流域特性,適応策の特徴に応じて適応策の選定・定量評価を行うことの重要性が認識された.