2022 年 78 巻 2 号 p. I_793-I_798
本研究では世界に散在する車両保管ヤードにおける洪水による車両被害を軽減するための検討を実施した.まず,車両保管所の微地形も考慮した車両配置を行うことが被害軽減につながるという目標を立てた.これに基づいて,3次元カメラ及び3次元スキャナにより車両保管所の標高を1m分解能より細かく計測した.次に3次元カメラ及びスキャナによる標高データの特徴,得失を検討した.その後,これらの計測標高データを国土地理院基盤地図情報5m解像度標高データと合成し,1m解像度標高データを作成した.この標高データを用いて浅水流方程式とネスティング手法による浸水計算を行い,浸水計算結果の傾向分析また問題点の把握を行った.結果として,5m標高データによる計算では浸水深が2mと判定されるエリアでも,3次元スキャナによる標高データでは浸水深1mと判断されるなど,微地形の取り込みが有効な場合が見て取れた.