2022 年 78 巻 2 号 p. I_907-I_912
本研究は,流域内の各河川区間に作用する洪水攪乱を評価可能な手法の構築を目的とする.代表粒径に対する無次元掃流力を指標とした洪水攪乱の評価指標を提案し,これを流域スケールで運用するため,降雨-流出-氾濫モデル(RRIモデル)を拡張した.長良川流域における2020年出水期の洪水攪乱の評価に本手法を適用し,比流量を指標とした既往研究の評価手法との比較を行った.代表粒径に対する無次元掃流力の閾値を超過する時間の指標は,2020年出水期における2時期の洪水イベントにより各河川区間に作用した洪水攪乱の規模と継続時間の度合いを,流域内の分布として表現することが可能であることを示した.また,水系を構成する河道に与える川幅,河床材料代表粒径の設定方法や,手法の検証について今後検討すべき課題が抽出された.