2022 年 78 巻 2 号 p. I_937-I_942
大阪府恩智川を対象に,既存の定点カメラで撮影した水面画像から河川浮遊ごみを連続検出する深層学習モデルを構築したところ,検出個数に対するF値は0.79と比較的高い検出精度が得られ,その有用性が確認された.構築モデルを用いて浮遊ごみの流出特性を解析した結果,増水初期にはファーストフラッシュ現象が確認され,一つの出水イベントにおける総個数のうち約90%が増水期に流出していた.降水量と先行晴天日数を考慮した浮遊ごみ個数の推定式を構築し,年間輸送量を算出した結果,恩智川では年間輸送量に対する出水日と平水日の寄与は同オーダーであった.平水時にオイルフェンスを設置するとともに,河川敷の清掃活動を出水前に実施することや,出水時の浮遊ごみ回収技術を開発することが,浮遊ごみの流出削減対策として有効であると考えられた.