陸上と海底の地形を表現する標高と水深の0m基準は異なっている.これらの基準に関係する事績は,明治期の近代測量開始時まで遡ることができる.その後,それぞれ個別に変遷を遂げるが,その関係については十分に明らかにされていない.本報告では,定義が異なる基準について,それぞれの決定経緯の調査・整理を行った.特に,水深基準の決定経緯については,水路測量担当機関により発行された一次史料にあたり,その変遷を整理をした.水深の基準については,単純な低潮面平均から始まり,調和分解法による最低水面の導入,呼称の矛盾期間の存在と解消,調和分解法に必要となる常設験潮所の設置という経緯を確認できた.また,標高の基準に関する統一化の流れを示し,標高と水深の基準決定経緯を比較することにより,両者の関係性を抽出した.