抄録
高梁川改修工事の附帯工事として実施された東西用水工事は,高梁川から取水するための笠井堰と柳井原貯水池,左岸に設けられた7連の取水樋門,配水池から各用水路に分配する15連の南配水樋門と6連の北配水樋門及び配水樋門から旧用水路までを結ぶ新水路から構成される.大正13(1924)年に完成した酒津取水樋門と南北の配水樋門は,国の重要文化財にも指定され,その姿はつとに知られているが,実は現在の姿に至るまでに5回の設計変更が行われていたことが今回,明らかになった.本論文では高梁川東西用水組合に保管されている図面や文書を整理・分析することによって,各段階における用水路,取水樋門,配水樋門の詳細設計と設計変更に至った背景を明らかにする.