Journal of the Japan Petroleum Institute
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一般論文
ヒンダードアミン系光安定剤と紫外線吸収剤の相互作用
竹中 宏行溝川 茂雄大勝 靖一
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2007 年 50 巻 1 号 p. 8-15

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抄録
フェノール系酸化防止剤がヒンダードアミン系光安定剤(HALS)と拮抗作用を示すのに,紫外線吸収剤(UVA)がフェノール構造を持っているにもかかわらず,なぜHALSと見かけ上相乗作用を示すのかを議論する。HALSと2,6-di-t-butyl-4-hydroxytoluene(BHT)の拮抗作用をもたらす原因物質のHALSニトロソニウムは,2-ヒドロキシベンゾフェノン(2-HBP)の場合に生成しにくかった。さらに,HALSニトロソニウムはたとえ生成してもBHTほど2-HBPを酸化せず,2-HBPがより長くかつより効率よく働き続けることができた。これらの結果は,2-HBPのHALSとの弱い拮抗作用およびBHTとHALSの強い拮抗作用を示す。一方,2-HBPとBHTのペルオキシラジカル捕そくに由来するキノンはHALS誘導体,たとえばHALSヒドロキシルアミンの作用によって対応するヒドロキノンへ還元された。2-HBPはBHTよりも非常に速く,かつ容易に還元されて新しいUVAとなった。この事実は,2-HBPのHALSとの強い相乗作用およびBHTとHALSの弱い相乗作用を示す。これらの結果を総合すれば,BHTとHALSの拮抗作用に対して,UVA(2-HBP)とHALSが見かけ上相乗作用を示すことがよく説明できる。
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© 2007 公益社団法人石油学会
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