土木学会論文集D2(土木史)
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和文論文
土木史学的に見た古墳築造の合理性と変化-各務原市に所在する坊の塚古墳・北山古墳群の例-
西村 勝広
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2018 年 74 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

 古墳は古代の土木構造物である.近年,土木考古学という分野が提唱され,考古学のみではなく土木学的な研究の必要性が説かれている.本稿は,地方に所在する古墳時代前期の坊の塚古墳と後期の北山古墳群を事例に取り上げ,築造工法の合理性と変化について土木史の観点から論考した.
 坊の塚古墳では,自然地形を合理的に利用した築造の可能性を考察した.また,墳丘と周壕をモデル化して,墳丘の盛土が周壕の掘削土によって合理的に賄われることを試論した.北山2号墳では,山麓部の傾斜面に墳丘を構築する場合の合理的な工程を,発掘調査から得られた平面図と土層断面図に基づいて復元した.
 これら築造時期の異なる古墳の合理性を比較し,古墳時代後期では工程の省力化が目立つことを示し,社会情勢の変化による古墳の普及と結び付けた.

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