土木学会論文集D2(土木史)
Online ISSN : 2185-6532
和文論文
近代の和歌山におけるインフラ整備と公益確保 ―電気軌道と水力発電事業を中心として―
岩本 一将山口 敬太川崎 雅史
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2018 年 74 巻 1 号 p. 29-41

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抄録

 本研究は,近代の和歌山において,どのような関係主体と経緯によって電気軌道や水力発電といった近代化を象徴するインフラ整備が実現し,同時に公益を確保したのかを明らかにした.明治30年代の和歌山では,南海鉄道と和歌山水電が共に日高川へ水力発電事業の出願を行い,事業実施の権利を巡る確執が生じた.これに際して,事業認可の実質的な裁量を持つ県知事は,市長と共に仲裁に取り組み,和歌山水電に対して水力発電事業と市内の電気軌道敷設の認可を与える.その後,和歌山水電によって安価な電灯電力が和歌山県内に供給され,また和歌山市内外を繋ぐ交通インフラが整備された.この背景には,市長と県知事が事業実施の権利を和歌山水電へ認可することで,地元実業家らの持続的な経営による公益確保を目的としたインフラ整備が考えられていた.

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© 2018 公益社団法人 土木学会
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