2021 年 77 巻 1 号 p. 121-132
本研究は,明治後期の大阪築港・淀川改修並びに拡張新市街計画に焦点を当てる.これらの事業は,エコール・サントラルに留学していた古市公威・沖野忠雄・山口半六らが関わり,ほぼ同時期に計画されたものである.これまではその関連性は指摘されるものの,それぞれが規模の大きな事業であるために,一つの目的を共有した一体の事業であるとは認識されていなかったが,この3事象に焦点を当てることで,港湾産業都市建設の構想を共有しつつ段階的に具現化していった一連の事業であったことを示した.