現在,JR各社などの鉄道事業者における道床バラストの石質試験の基準値,試験方法の多くは昭和58年に標準化されたものである.石質基準の経緯や課題を理解することは今後とも良質な道床バラストを確保していく上では必要不可欠である.本論では道床バラストの品質の仕様の変遷を,鉄道創世時から順に示し,現行の品質基準の経緯をまとめた.戦前は主に保線に関する規程の中で定性的に基準が示され,戦後に定量的な基準値が定められ,標準として独立したものとなった.また,1970年代に道床噴泥対策として生産,積込み,運搬を含めた品質管理が強化された.これらの変遷を踏まえ,今後,石質試験を見直すことになった場合に検討が必要なこととして,吸水状態での集合体としての評価,一連の品質試験の中で簡易な岩石試験の適用性を示した.