抄録
本研究では,臨海部空港における空港舗装の性能規定型維持管理契約を対象とした最適維持補修モデルを提案する.その際,空港地盤の不同沈下リスク,コンクリート舗装の疲労破壊リスクという2種類のライフサイクル費用リスクに着目する.空港地盤の不同沈下過程はコンクリート舗装の劣化過程に影響を及ぼす.そこで,舗装の劣化過程を地盤沈下過程に依存した非斉次マルコフ過程として表現する.その上で,2種類のリスクを考慮した非斉次マルコフ決定モデルを定式化する.さらに,モニタリング情報に基づいて,空港舗装維持補修計画を逐次ベイズ更新する方法論を提案する.最後に,H空港を対象とした適用事例を用いて,本研究で提案した方法論の有効性を実証的に検証する.